口腔ケアの話題ではよく「歯周ポケット」という言葉を耳にします。歯周ポケットは、一般の人が見て判別できるものではなく、そもそもポケットの有無で何に違いが現れるのかもわからないという方が多いかと思います。そこで今回は歯周ポケットの深さの平均値を年代別にご紹介し、ポケットがあることのデメリットや改善方法などを円町のたかはし歯科医院がわかりやすく解説します。
▼そもそも歯周ポケットって何が悪いの?
歯と歯茎の境目に溝があると、歯垢や歯石がたまって細菌の温床となります。歯周ポケットが深くなるほど清掃するのが難しくなり、歯周病を重症化させやすくなるのです。
▼年代別の歯周ポケットの深さ
◎10代の歯周ポケット
歯周ポケットの深さは、年代によって大きく変わります。まず、10代の歯周ポケットですが、90%以上が4mm未満となっています。歯周ポケットの平均値も1~2mmといったところで、歯茎が正常な状態にあることを意味します。もちろん、10代でも4mm以上の深い歯周ポケットを持っている人はいますが、全体から見るとごくわずかです。
◎20代の歯周ポケット
20代になると4mm未満の歯周ポケットの人が70%前後まで低下します。残りの30%は4mm以上の歯周ポケットを持っているため、医学的には「歯周炎」と診断されることになります。歯周炎とは、歯茎だけでなく、顎の骨にまで炎症が広がった状態で、比較的進行した歯周病といえます。
◎30代の歯周ポケット
30代では、4~6mmの歯周ポケットを持つ人が約30%存在しています。6mm以上の歯周ポケットを持つ人の割合は5%くらいです。30代でも歯周ポケットの平均値は4mm以下となりますが、歯周病の重症化率は確実に高まってきます。
◎40代の歯周ポケット
40代になると4~6mmの歯周ポケットを持つ人が40%を占めるようになります。もうすぐで半数となり、歯周炎まで進行している人も割合も増えていることがわかります。歯周ポケットの平均値も明らかに高くなっています。
◎50代以降の歯周ポケット
50代の歯周ポケットは、4mm以下が45%、4~6mmが45%とほぼ半々となります。6mm以上の歯周ポケットを持つ人が10%程度に達するため、40代よりもさらに歯周病の重症化が起こりやすいことがわかります。それ以降の年代では、歯の本数が減っていくことから、歯周ポケットの深さも徐々に浅くなっていきます。
▼歯周ポケットの改善方法
歯周ポケットには、「仮性ポケット」と「真性ポケット」の2種類があります。仮性ポケットは歯肉炎で見られる症状で、歯茎が腫れることでポケットが深くなっているように見えるだけで、治療を受ければ正常な値にまで戻せます。真性ポケットは歯周炎で見られる症状で、歯茎や顎の骨が破壊された結果としてポケットが深くなることから、標準的な歯周病治療を行っても改善することは難しいです。
「歯周組織再生療法」を実施して、歯周病によって壊された歯茎・歯槽骨を再生させることでポケットを浅くできます。歯肉炎の段階で治療を受ければ、そうした大掛かりな外科処置を受けなくても、歯周ポケットを正常値に戻すことが可能となります。歯周病は早期発見・早期治療が重要といわれるのはそのためです。
▼まとめ
今回は、歯周ポケットの深さの平均値を年代別に紹介するとともに、ポケットの深さを正常に戻す方法について、たかはし歯科医院が解説しました。歯周ポケットが深くなると、歯周リスクが大きく上昇するため、正常値を維持するよう努めることが大切です。